クレーム対応術 Vol.9 品質の数値化への試み
   
Vol.9 品質の数値化への試み 2004.12.05
見えない汚れの客観的品質管理の必要性
カーペット業界はいまカーペットルネッサンス運動に取り組んでいる。タイルカーペットの横ばいに対しロールカーペットの減少が続いている。2004年の数字は1993年の50%になる。その理由はダニ問題からシックハウス問題で十分な対応を行わなかったことが、カーペットから木床への需要の雪崩現象を引き起こしたともいえる。現在健在であるのはビルのタイルカーペットと電気カーペット、今後ビルのグリーン化に対応する人工芝ぐらいである。これらも環境問題やシックビルに常に先手を打ち対応しないと市場崩壊を起こしかねない。その原因はカーペット業界は薬品にたよりすぎたことにある。洋風至上主義をとり、わが国の気候と生活様式を無視したことであろう。現在殺虫殺菌薬品はハウスシックに無関係でないという考えが浸透しているためペストコントロールも以前ほどの元気は無い。現在カーペットのパンフレットに殺虫殺菌の使用のすすめは姿を消している。環境衛生を含めた新しいカーぺットの考え方を含めた販売法これがカーペットルネッサンス運動である。ここでは過去の薬品依存を否定し、殺ダニという用語は無く換気と清掃に重点を置いている。
資料1

この状況を見てもビルメン業界ものんびりしていられない。現在ビルメンに要求されているものは品質管理である。その中でも業界が全く取り組んでいない、見えない汚れすなわち衛生的品質管理である。ビルメン業界は現在でもすべて見えない汚れをペストコントロールに任せている。カーペット業界でさえ室内環境衛生を目的として清掃を最重点において業界自らが取り組んでいる現在、ビルメン業界自身が清掃の重要性に気づいていないということである。協会のテキストも細菌、カビ、ダニなどの知識はすべてペストコントロール業界と建築業界からのコピーであり、その内容は薬品による消毒とカビによる建物の被害を防ぐことが主力である。人の健康を守る清掃の効果についてほとんど記載されていない。横浜は世界の室内環境衛生研究の発祥地であり、ハウスダスト研究もこの地で生まれた。しかし業界ではこれらの研究の膨大な蓄積データー(例えば我々の生活の場に多く存在し比較的目に付かない好乾性カビ類研究)はビルメン業界では無意識にみすごされてきた。現在ビルメン業界がビルオーナーや病院オーナー、公共施設管理者、一般消費者と対等な立場に立つためには目に見えない汚れ(細菌、カビ、に対する客観性のある衛生的品質管理システムの確立である。もちろん目に見える汚れの品質管理も必要である、これについては現在関連協会でインスペクション制度が作成されているが、まだオーナー、消費者に認知されているとはいえない。ビルオーナーから指摘される改善点は3つある。(1)ビルメンサイドの評価だけでなく客観性を持たせられる第三者を入れるか。客観的評価技法の開発のどちらかである。(2)現在の採点法では汚れが平均化され実体とかけ離れる。例えば天井3点で大変きれい。壁3点で合格。窓ガラス3点、床1点で非常に汚く不合格。この場合平均すると2.5点で合格してしまう。現実には1箇所でも不合格であれば、その現場は不合格になる。その現場で合格にするにはクレームを修正しなければならない。(3)現在のインスペクション制度はクレーム対応技術が必ず必要であり、この点現在のインスペクションシステムは不充分である。(1)石材、(2)木材、(3)清掃機械の吸引力性能管理、この3つは提案されて10年になるがいまだに専門のテキストもない。
ビルオーナーの1部は4段階評価を行う例も多い。これであれば中間点は無く良いか悪いかどちらかであり、より現実的である。目に見える汚れのクレームは建築素材の汚れであり、最終的には建築素材を交換すればよい。最大限その建築素材の価格である。ところが目に見えない汚れクレームは人の健康に関するものであり価格の算定はできない。現にハウスシックの原因はハウスダストも関連することは否定できない。見えない汚れの管理に取り組めばビルメン業界の社会的役割も重みを増し、受注価格のはどめになることはあきらかである。筆者は15年前にこの問題に取り組み、フードスタンプを利用して細菌を目に見える形にして管理する技法のデータを取り、それをビルメンテナンス誌に発表した。

資料2
見えない汚れはビルの使用者だけでなく、クリーンクルーの健康にも関連する。特にサーズ問題で明らかになったように、ビルメン現場がもっとも危険であることは理解できよう。見えない汚れの品質管理は少なくともトイレ、現場の休憩室、資材置き場(ビル管法にもあげられている)病院や老人ホーム,などはできるだけ早い取り組みが必要である。必要なことは委託研究でなくビルメン自身が研究に取り組むことである。清掃方法や使用洗剤などのシステムはその国の気候と生活様式により異なり外国のシステムをそのまま流用したのでは十分な効果が得られないことは、10年にわたる横浜研究で明らかである。例えばレジオネラの入浴施設における集中的発症例はわが国の入浴に対する考えも入浴法も外国のそれとは異なる独自のものである。この点だけを見ても除菌剤などの外国製をそのままの取り入れは注意が必要である。それらの効果をカタログ説明だけでなく、目で見て確認できる品質管理技法を我々試みの会有志は病院をはじめとするこれらの現場で開発に取組んでいる。見えない汚れが目で見えればオーナー、消費者に客観的評価ができ、現在販売されている高価格の外国製の除菌剤なども効果が現場で確認できれば使用できる。現にこれらの商品の中には説明だけはすばらしいが現実の効果が疑わしい製品も多い。
来年2月には京都議定書も発効する。業界も価格競争だけでなくビルメン業界は人の健康。自然に対する環境負荷の低減に貢献しているかのPRや研究を行う時期であろう。
ビルメン業界はISO14000を取得する必要はない。ビルメンの活動全てが環境負荷の低減に関連している。今から10年前我々有志は細菌の数値化に取り組んだその古い報告書をアーカイブとして公表しておきたい昔の取り組みが少しでも見えない汚れと品質の客観的評価の助けになればと考えてのことである。
資料、ビルメンテナンス1993年6月号 坂口著

 

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