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 クレーム対応術 Vol.56メンテナンス情報、殺人現場のハウスクリーニング2
   
Vol.56 2007.07.05

1、殺人現場ハウスクリーニングの現状
殺人現場のハウスクリーニング1を書いてからかなり時間がたつ。1を書いたのは全国インテリアクリーニング協会(現ハウスクリーニング協会)が社団法人化された30年前の時代であり、今のように殺人現場ハウスクリーニングが花盛りの時代ではなかった。
当時の協会への相談の大部分は殺人現場や事件現場のクリーニングであり、特に落ちにくい血液検出のルミノール反応と指紋検出用アルミ粉の除去法の問い合わせであった。
そこで殺人現場ハウスクリーニングとよばれていた。
しかし30年間に殺人、自殺、孤独死の多発でこの仕事も様変わりして、死体現場クリーニングとなり、すでに花盛りを過ぎて、ここ数年は値段競争の時代に入っている。最近は埼玉県ではハウスクリーニング業者が死体発見者になったり、ビルメン業者が上から飛び降りた自殺者と接触したり、この点からもいかにこれ等の事件が増加したか理解できる。特に孤独死の増加(年間100件といわれる)に伴い殺人現場ハウスクリーニングから死体ハウスクリーニングに変化して、社会的にも認知され始めた。専門業者が生まれ始めたのは約20年前でほとんどがハウスクリーニング業者の下請で数日間かけて少人数で作業を行っていた。当時は競争も無くクリーニング価格も現場状況によっては100万円を超える場合もかなりあったようである.最近はシステム化されて清掃、遺品整理、不要物処理、現場供養、リフォーム作業、まで請け負うようになり、費用もそれなりの金額になる。不要物の中から現金が出てきたり、家具の中に高価な物品が埋もれていたなどの話が伝えられているが、資産のある孤独死の例は少なく、ほとんどは清掃費が出ないような場合が多い。

2、殺人現場ハウスクリーニングの歴史と技術
現在ではこの関連のハウスクリーニングは以下の3つに分けられる。

  1. 事件現場のハウスクリーニング
    窃盗事件などで部屋が荒らされ、指紋採取跡の清掃などを含めたハウスクリーニングであり80年ごろはほとんどこの分類に入る
  2. 殺人現場のハウスクリーニング
    通常は血痕の処理、指紋採取跡除去、ルミノール除去、である。 ウレタン塗装フローリング、ビニールタイルなどは比較的簡単に除去できるが、吸い込みのある繊維製品は廃棄、コンクリートなどは酸処理か研磨
    アパート、マンション、などの場合オーナーはできるだけリニュウアル費用を少なくしたいため、夜になると光るルミノールや指紋採取跡の徹底的清掃を求めてくる。
    その他飛び降り現場の血痕除去などがある。筆者の経験は80年代であり余りひどい例に遭遇していないが、1994年の福岡美容師バラバラ殺人の現場は清掃作業が大変であったと思われる。最近はバラバラ事件は珍しくなく、統計は無いがかなりの事件が起きている。
  3. 孤独死、放置現場のハウスクリーニング
    最も大変な事例が孤独死などの死体の放置現場であろう。筆者の経験はラブホテルのベッドの下に女性の死体を隠した事例であるが、臭気のひどさが想像を絶する。この臭気の染み付いた物品の処理である。特にたたみ、カーぺットなどの処理がすべてといって良い。3年前の松戸市の孤独死の場合のように3年間発見されず、家賃、電気、水道代も自動振込みされていた。場合はおそらく白骨化して臭気も少ないと想像されるが、大部分は強烈な臭気があり市販の消臭剤、防臭剤では歯が立たない。使用洗剤もたんぱく質、脂肪を分解する水酸化ナトリウム、酸化力のある硫酸、次亜塩素酸ナトリウムの3っが必須アイテムである。それと小型リンサーである。浴室があればそこに薬品をいれ処理し臭気を少なくして同時に殺菌消毒を行う。もちろん市販の除菌洗剤などでは効果がない。法定殺菌剤が必要になる。マスク、手袋、ビニール雨具着用の完全装備である。
    近隣があれば換気もままならいし、窓も開けられない場合もある。とにかく臭気の元を出来るだけ臭気を消して廃棄することである。まずにおいの元を絶つことである。
注記
作業の参考書などは無いが、筆者の場合は朝鮮戦争時の米軍の戦死体処理の体験記、岩波書店の骨を読む、が参考になった。この本はハウスクリーニング協会と東京協会に置いてきた。米軍の場合はわが国の白木の箱と違い、立派な棺桶に死体や白骨でさえ十分な処理を施し遺族に届けることや、このように死体処理を行う業者をエンバーマーと呼び、協会も専門誌も存在することを知った。戦死体処理は特別調達庁が行ったはずであり、特庁出身の浅地氏の日本ビルサービスを考えるとこの作業もビルメンとは無関係ではない因縁を感じる。

その後、残りの畳、敷物、寝具、家具の廃棄、遺品調査と整理を行い、通常のハウスクリーニングを行う。そのあとに供養が行われ、リニュウアルが行われる。しかし供養やお払いが行われても、そのような事が起きたということはやはり後を引く場合が多い特に賃貸マンションなどの場合オーナーにとってはマイナスである。

3、殺人現場のハウスクリーニングの評価
最近この仕事が派手に取り上げられる傾向が強い。しかしこのような仕事が存在する社会そのものが良い社会とはいえない。もちろん孤独死などがある限り必要な仕事ではある確かに1般のハウスクリーニングより利益になることは事実である。筆者としては人の死を利益の対象にしたくは無いが最近の社会はそれさえも利益の対象にしかねない。
1日も早く殺人現場のハウスクリーニングがなくなる日を願う。

 

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