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 クレーム対応術 Vol.40墨汁のしみはなぜ水溶性ですか
   

Vol.40 現場清掃技術情報 墨汁のしみはなぜ水溶性ですか (匿名希望)2005.08.08

(私は理科系の4年制大学を卒業して大手ビルメンテナンス会社で現場責任者として働いていますが、最近協会の講習会でしみとりの実習がありましたが。そこで墨汁を使った実験がありました。その場合墨汁を水溶性汚れとして説明されましたが、家政学でも物理学でも墨汁は不溶性汚れと教わりました。洗剤メーカー花王のホームページでも墨汁は不溶性汚れで汚れは油溶性、水溶性、不溶性、の3つに分類しています。指導講師の先生にお伺いしたところ、ビルメン業界は特別な業界であり、学校の教科書とは異なる点が多くあるそうです。例えばビルメン現場では地球の周りを太陽が回っても作業に関係ないでしょうと説明されました。しかしなんとのなく納得できません。)

以上のような質問がありました。
これについて考えてみたいと思います
クリーニング業界、印刷業界、染色業界では墨汁は不溶性汚れに分類しています、ビルメン業界だけは水溶性汚れとしているみたいです。この違いを表記してみました。

業界
墨汁の分類
ビルメン業界 水溶性汚れ〔しみ〕
印刷業界 不溶性〔顔料〕インク
染色業界 不溶性〔顔料〕染色材料
カーペット業界 不溶性(顔料)ポリプロピレン原着カーペット
クリーニング業界 不溶性汚れ、しみ
洗剤業界 不溶性汚れ、しみ

このように墨汁を実習で水溶性汚れとしているのはビルメン業界だけです。特に最近は写真やプリンター業界では顔料(不溶性)、と染料(水溶性)にわけて、不溶性顔料インクの耐久性を売りにしています。又カーペット業界も原着という言葉を使い色落ちに対する強さを表示しています。原着は原料着色という意味で最近使われるポリプロピレンでは墨汁と同じカーボン〔すす〕が繊維に混ぜて使われています。ではなぜ墨汁は液体なのに他業界では不溶性なのでしょう。それは溶けるという意味の解釈が違うのです。水溶性しみ例えばジュースの色は水と同じ大きさの分子状態で交じり合っています。ところが墨汁は水正確には水の分子よりはるかに大きなススの塊です。しかし煤はかなり細かい塊なので水の中に浮かんでいるのです。
今ビルメン業界で話題になっているハウスダストも細かいものは空気中に浮いています。分子状態で混ざっているものを物理や化学では溶けるといっています。塊が浮かんでいるのは溶けるとは言わず分散と言っています。光はもともと目に見えませんが、隙間からさす日の光が線レーザーのような細く強い光が1本の線に見えるのは空気中の細かい固形のちりが光1本の線に見えるのです。これがチンダル現象と呼ばれる現象です。強い光で線が見えればそれは溶解していない固体の粒子であることの証明になります。線が見えなければ溶解していることになります。そこでジョンソンフロアラボで以下の実験をして見ました。




まず水溶性の紺色染料と墨汁を用意し、それぞれを水に溶かしました。そして横から赤のレーザーを当てて見ます。紺色染料ではレーザー光は見えませんが、墨汁ははっきり見えます。これで墨汁は固体の粒子が水に分散しているだけで、水に溶解していないことがわかります。このように固体は紫外線や漂白剤に強い理由がわかります。染料は水や油に溶けますが、顔料は不溶性です。顔料プリンターで印刷した写真は
色があせません。しかし染料のように色を混ぜ合わせにくいと言う欠点があります。又染料には黒と白はありません。この染料と顔料の理論はカーペットの染色補正の技術の裏づけなのです。ですから染色業界、印刷業界は物理化学の法則に沿って水溶性、油溶性、不溶性に分類しています。またクリーニング業界の分類法も洗剤と汚れの理論上の組み立てから水溶性、油溶性、不溶性の分類を採用しています。
しかしビルメン業界は特別な業界ですので、物理化学の考え方とは別に指導講師の先生方による現場の経験で墨汁は水溶性と決めているのです。言い換えるとビルメン業界では水溶性は水で溶けるではなく、水で取れると言うことで分類しているのでしょう。しかしこの問題はクリーニング技能士と言う権威ある国家試験に関連しますので、ビル管理教育センターや環境学会の先生方や厚生労働省のお考えで物理化学の教科書や他業界との段差を埋めるしかありません。過去にも2液性を上塗りと下塗りの意味に使い塗料業界との間で問題化して、すりあわせした例もあります。現在は面倒でも使い分けるしかありません。

 

 

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