Vol.16 現場研究データの公開と保存 2005.01.31
現場技術情報公開に当たって
ビルメン40年の間に厚生省科学研究、環境庁科学研究、建設省科学研究などビルメン現場が協力した研究データが眠っていることは過去に何度か述べた。これに劣らない現場の人たちの研究が眠っている。これらの研究は専門の学者が参加していないが、現場に密着した鋭い切り口を持っている。これらの研究は表に出るもののほとんどは資材業者が商品販売のためのデータとして現場責任者の名前で発表したものが多い。この点本当の現場研究は良いことも悪いこともビルメン現場の立場で研究したものである。これらの研究の発表が出来る場がないのが現状である。全協をはじめとしてビルクリーニング誌のインターネットのチャットが本当の井戸端会議の場になり現場の人たちの研究発表の場として機能していないし、また多くの質問やクレームが現場に多数存在していながら質問が出てこないのはなぜだろう。ビルメン現場が悪いと片付けてよいのだろうか。
まず現場の研究に役に立つものはない。(1)毎年用具や器具の改良例は発表されている。
(2)現場には予算も測定器もない。しかしその悪条件の中でかなり重要な研究が行われている。その1例を挙げる。左は都内の2003年ビルのトイレの水の硬度表である。これはごく1部のデータで数名の現場の人たちにより約40件のビルのトイレ洗浄水の硬度が昨年測定されている。洗浄水の硬度が高いとトイレや噴水や散水による外装石材に水垢が生じる。水に含まれる成分がカルシウムであれば通常のトイレ用酸性洗剤で取れるが、珪酸であれば研磨の必要がある。硬度測定検査紙はかなり言いお値段である。そこで現場では純石鹸の水溶液とおいしい水ボルビックを使い簡易測定し必要な場合だけ試験紙を使用した。
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現場ではこの方法をボルビック法と名づけている。Dビル、Cビルは金属成分0であるが、Gビルは200PPMである。そしてこのビルは汐留の最新の設備を持つ新ビルである。
このデータはレベルが低いといえるだろうか。昨年TOTOのセミナーが行われたが、内容は当社の新しい便器に取り替えれば清掃が楽になるという話が主力であった。トイレ洗浄水と水垢の関係のほうがビルメンにとってもビルオーナーの立場でもはるかに価値のある内容ではないだろうか。しかしながらこの研究はそのビルメン内部でも評価されていない。そのひとつの要因はISO課の圧力である。20年前都衛生研究所でカーペットメンナンスに取り組んでいたとき、吉川翠先生がダニの生死判別は素人には出来ない。ダニの拾い出しはビルメンの人には出来ないといわれた。それに対して先生の目は2つしかないでしょう。ビルメン現場は少なくとも2000人はいます。目は000個ですと答えておいた。 |
このように過去40年間のデータ資料がビルメン内部に眠っている。20年前のカタログもそれなりの価値がある。それよりもこのようなデータやサンプルが失われつつある。最近50歳代の現場責任者がリストラされつつある。これらの人たちのデータの引継ぎが行われていない。例えば新幹線における好乾性カビ類のデータや100系から700系までのトイレ汚れなどのデータは1部でも何とか残しておきたい。現在このようなデータは10年間で100件を越える。これらのデータは出来れば全て実名で公開したい。先の洗浄水硬度表もビル名を公表すればビルメンにとってもビルオーナーにとってもよりよい改善が可能である。しかし現実はそのビルメン内でも評価されていないデータもあり、全て匿名の資料もある。セミナーでは実験と平行しながら実名を口答で説明できると思われる。とりあえず現場からの技術情報として解説を加え公開してゆく、公開しておけばどこかに保存される可能性もありデータの一人歩きも可能になる。そしてこれらのデータの活用は最良のクレーム対応法になる。
2005.01.25
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